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最終更新日:2006年4月9日

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 永井荷風の作品を一度読むと、もうその作品の中に表れる町並みの表現力、描写力、特にその時代の下町の情景の虜になってしまいます。ただ若い時に同じ作品を読んでもあまり感動しなかったのですが、歳をとって読むと全然感じ方が違ってきます。どうしてでしょうか。これから荷風が歩いた東京の下町を時代を追って紹介したいと思います。

永井荷風について

 松本哉の「永井荷風ひとり暮らし」には『永井荷風を知ってしまった人は幸せなのか不幸なのか。ある程度の年齢に達しないとわからない珍味の一つである。食わず嫌いで一向さしつかえないし、知らずに済んだほうが幸せかもしれない。』と書いています。私の思いと同じで、私も年をとったなと実感するしだいです。と自分自信で感心していても仕方がないので、このホームページを見ていただいている皆様にも「永井荷風」を知って幸せになっていただき、この美味しい珍味を食べて頂きたいと思っています。

●永井荷風の足跡を紹介します

西暦

和  暦

年    表

年齢

永井荷風の足跡

作  品

1879
明治12年
 
 
12月3日、永井久一郎と恆(つね)の長男として生まれる。本名壮吉。父は内務官僚、母は漢学者鷲津宣光の長女。誕生地は東京市小石川区金富町45番地(現在の文京区春日2-20-25)  
1883
明治16年
鹿鳴館落成
4
2月5日、弟、貞二生まれる。  
1884
明治17年
 
5
東京女子師範学校(現お茶の水女子大)付属幼稚園に入学  
1886
明治19年
帝国大学令公布
7
黒田尋常小学校に入学  
1889
明治22年
大日本定国憲法発布
10
東京府立尋常師範学校付属竹早小学校高等科入学(現学芸大学付属小学校)  
1890
明治23年
 
11
神田区錦町の東京英語学校に通う  
1891
明治24年
大津事件
露仏同盟
12
高等師範学校付属中学校入学(現筑波大学付属高等学校)  
1893
明治26年
大本営条例公布
14
麴町区飯田町3丁目に移る  
1894
明治27年
日清戦争始まる
15
麴町区一番町42に移る  
1895
明治28年 
三国干渉
16
   
1897
明治30年
金本位制実施
18
父親が日本郵船上海支店長になる。高等商業学校付属外国語学校清語科に入学  
1899
明治32年
 
20
落語家朝寝坊むらくに弟子入り、「万朝報」の懸賞小説に当選  
1900
明治33年
 
21
   
1901
明治34年 
幸徳秋水ら社会民主党結成
22
   
1902
明治35年
日英同盟
23
牛込区大久保余丁町79に転居(現新宿区余丁町14) 「野心」を処女出版
1903
明治36年
小等学校の教科書国定化
24
渡米、シアトルからタコマ市へいく 「夢の女」「女優ナナ」を発刊、「隅田川」を「文芸界」に掲載
1904
明治37年
日露戦争始まる
25
米国ミシガン州にてフランス語、英文学を学ぶ  
1905
明治38年
ポーツマス条約
26
ワシントン日本公使館に働く、12月正金銀行ニューヨーク支店に勤める  
1906
明治39年
南満州鉄道会社設立
27
   
1907
明治40年
義務教育6年制
28
正金銀行リヨン支店に転勤となる。  
1908
明治41年
 
29
3月正金銀行を辞職、ロンドン経由で7月帰国 「あめりか物語」を発刊
1909
明治42年
伊藤博文ハルビン駅で暗殺
30
  「ふらんす物語」を発刊するが発禁となる。12月に「すみだ川」を「新小説」に発表
1910
明治43年
日韓併合
31
森鴎外、上田敏の推薦で慶応義塾大学文学科の教授となる。 三田文学を創刊
1912
大正元年
中華民国成立
33
湯島の材木商斉藤政吉の次女ヨネと結婚  
1913
大正2年
 
34
父、久一郎死去。妻ヨネと離婚  
1914
大正3年
第一次世界大戦始まる
35
市川左団次夫妻の媒酌で八重次と結婚。 「日和下駄」を三田文学に連載
1915
大正4年
対華21ヶ条、排日運動
36
八重次と離婚、築地1-6に転居  
1916
大正5年
世界恐慌始まる
37
慶応大学教授を辞職。大久保余丁町の自宅に帰る。断腸亭を新築  
1918
大正7年
シベリア出兵
39
12月余丁町の邸宅を売却、築地2-30に引っ越す  
1919
大正8年
松井須磨子自殺
40
麻布区市兵衛町1-6に土地百坪を借りる  
1920
大正9年
メーデー、国際連盟成立
41
新居完成、5月23日引越し、偏奇館と名付ける。 「おかめ笹」
1922
大正11年 
ワシントン条約調印
43
   
1927
昭和2年
金融恐慌
芥川龍之介自殺
地下鉄開通
48
三番町の妓関根歌を見受け  
1931
昭和6年
満州事変勃発
52
関根歌と別れる 「つゆのあとさき」を中央公論に発表
1932
昭和7年
満州国建国
53
   
1936
昭和11年
2.26事件
57
玉ノ井通いが始まる  
1937
昭和12年
日中戦争始まる
58
  「墨東綺譚」を朝日新聞に掲載
1941
昭和16年
真珠湾攻撃、太平洋戦争始まる
62
   
1944
昭和19年
マリアナ海戦敗北
東条内閣総辞職
レイテ沖海戦
神風特攻隊出撃
65
杵屋五叟(大島一雄)の次男永光を養子とする  
1945
昭和20年
ソ連参戦
ポツダム宣言受諾
66
3月9日東京空襲、偏奇館焼ける。原宿の杵屋五叟宅に身を寄せる
5月15日東中野文化アパートに引越すが再び空襲で焼け出される
明石、岡山へ疎開するが再び空襲を受ける
終戦後熱海和田浜に転居
 
1946
昭和21年
日本国憲法公布 
67
千葉県市川市菅野大島方に移る  
1947
昭和22年
中華人民共和国成立
68
   
1948
昭和23年
朝鮮戦争始まる
69
千葉県市川市菅野1124に家を買って移住  
1959
昭和24年
湯川秀樹ノーベル物理学賞受賞
70
  「断腸亭日乗」を中央公論に連載
1952
昭和27年
 
73
文化勲章を受ける 私家版「腕くらべ」を発刊
1954
昭和29年
スエズ動乱
75
   
1957
昭和32年
 
77
市川市八幡町4-1228の新居に引っ越す  
1959
昭和34年
皇太子殿下ご成婚
79
4月30日胃潰瘍のため死亡  

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●永井荷風家系図

 荷風の父、久一郎は明治十年尾張から上京、大学南校(後の東京大学)で学び、アメリカに留学(プリンストン大学)後、工部省等に勤めています。久一郎24才のとき、国から妻を娶ります。新居は小石川の金富町で邸宅を新築しています。


【参考図書】
・永井荷風:新潮日本文学アルバム
・永井荷風の愛した東京下町:近藤富枝、JTB
・荷風と東京:川本三郎 都市出版
・荷風語録:川本三郎 岩波書店
・荷風散策:江藤淳 新潮社
・寺島町奇譚:滝田ゆう 筑摩書房
・墨東綺譚:永井荷風 岩波文庫

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