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最終更新日:2006年2月21日

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●吉本ばななの「パイナツプリン」を歩く 2002年1月12日 V01L02

yoshimoto-asakusa10w.jpg 谷崎潤一郎シリーズが三回も続いて、すこし飽きてきましたので今回は、「三人の作家の浅草散歩」の第三回目を行いたいと思います(谷崎潤一郎シリーズは来週に続きます)。今まではどうも年寄りの男性作家ばかりが登場していましたが今回は”吉本ばなな”の「パイナツプリン」で浅草を歩いてみたいと思います。”吉本ばなな”はこの本で自分自身について書いています。「なんで小説を書くんですか、とインタビューで聞かれることが多いが(あたりまえか……)そのたびに「なるもんだと思ってたもんで。」とええ加減に答えている。しかしそれにも確かに一理あって、私ほ本当に子供の頃から「パイロット」とか「保母」とかと同じょぅな感じで「作家だわ。」と思っていたのです。」、書くことに対して相当自信がないと、なかなかこういうことは言えません。われわれ凡人から見ると才能ある人はなにか違いますね。

<吉本ばなな>
 昭和39年(1964)7月、東京生まれで日本大学芸術学部卒。海燕新人文学賞「キッチン」でデビュー、「うたかた/サンクチュアリ」で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。「ムーンライト・シャドウ」で泉鏡花賞、また「TUGUMI−つぐみ−」で第2回山本周五郎賞を受賞。主な著書に「悲しい予感」「白河夜船」など(角川文庫より)。

左の 写真は角川文庫の「パイナツプリン」の表紙です。なんか、吉本ばななに良くあっている表紙デザインです。


 「もう浅草ネタはおよしなさいって、みんなに言われるが、2年も働いたんだから、もとを取ってやるー。」は「パイナツプリン」の中の”おいしい浅草”の書き出しです。ものすごく期待できますね!!

yoshimoto-asakusa26w.jpg<Rビル(ROXビル)>
 ”おいしい浅草”の中で最初に紹介されるのが、本人がアルバイトで働いていたRビルです。「私ほ某Rというビルの中の店でアルバイトをしていた。その店ほもうないが、実に良い店だった。オーナーの人が艮すぎたのと、地下1階でトイレのわきだったのが悪かったのだろう。……しかしひとつわかったのは、私がいたところのように、お茶を出す店ならまだしも、浅草にほあまりにも食べものやが多い。そこにまた食べものやを持っていっても仕方がないというくらい多い。たくさんの店を知った。」と紹介しています。Rのビルのお店も紹介していて「Rビル地下一階にあった(今もあるだろうか)Bという店のことも書く。ここは「イタリアの家庭料理」というふれこみの店」とあるのですが、残念ながらRビルは地下一階にはもうレストランはありません。食品街になってしまっていました。

左の写真がRビルです(下記の地図の?@です)。写真を見るとROXビルとすぐに分かりますね、元々は松竹座のあったところですが現在は五反田のTOCがこのビルを運営しています。お風呂まである総合アミューズメントビルなのです。


yoshimoto-asakusa13w.jpg<Nというそば屋(長浦)>
  次に紹介しているのが「お昼のホームラン王は、Nというそば屋だ。かなり、有名なお店である。実名を出すとみんなが行ってしまうので、ナイショです。知りたい人は、私まで。でも、とても有名なお店だから、ちょっとその辺の人にたずねるとすぐわかります。そこで食べたにゅうめんの味は一生ものだったと思う。びっくりするほどおいしい。にゅうめんというのは、そうめんみたいな奴で、それに揚げ玉とねぎとさやえんどうが散らしてある。異様においしく、熱い。……つゆも残さず食べた記憶があった。」です。私も上記で紹介しています”にゅうめん””葛引うどん”を食べてみました(それぞれ1000円です)。関西ではあまり珍しくないのですが、浅草辺りではどうなんでしょうか。でも、とても美味しかったです、久しぶりに食べた関西の味でした。こちらでお薦めなのは、蕎麦にシラヒゲ大根を和えた蕎麦仕立ての”妙興寺そば”だそうです。

右の写真が「Nというそば屋」です(下記の地図の?Aです)。正式な名前は「寺方蕎麦 長浦」で、脇道に入ったところにある小さなそば屋ですので、分かりにくいので地図を参照してください。このお店はチェーン店で、銀座ニューメルサ7F他にあります。

yoshimoto-asakusa11w.jpg<洋食屋のY(ヨシカミ)>
 三件目が洋食屋のYです。「すがすがしさで言えば、洋食屋のYである。ここも有名です。ここの面白さは、「うますぎて申訳けないス!」である。……入口のところに「メニューの豆本」みたいなかわいいサイズのメニューとか、四季おりおりのマッチがある。おとりさまの時は熊手の、三社祭の時ははっぴの形をしていた。ここのチキンライスはとてもおいしい。何より、コックさんたちが良い。彼らはみんなはきはきしていて、明るく、仲良しで、料理がうまいくあの活気や、気さくさや、手早さを最近よそでは見ることができない気がする。建物がまた、びっくりするはど古い。真昼に行くと、なぜか店内のその古びた感じが、こわいくらい陽にさらされたその場所で (周囲に何もないのだ)何となく、千葉の田舎の方の海岸べりのレストランにいるような気分にさせる。」と書いています。残念なのは、人気がありすぎていつも並んでいることです。お店はかなり広いので少し待てばいいのですが周りの環境が余りよくなくて、落ち着いて待っておれない雰囲気です。私は”ビーブシチュー”を頂きましたがなかなかこくがあって美味でした。少々お値段が高いのが気になります(ビーフシチュー:2100円)。それと、私がもらったものは……です(お正月なので)。

左の写真が「洋食屋のY」です。看板に「ヨシカミ」と書いてありますのですぐに分かりますね(下記の地図の?Bです)。

yoshimoto-asakusa16w.jpg<Bというお店(ベル)>
 四件目がBというお店です。「Bというお店は、やはり洋食屋だが、ハーフサイズだったか、3分の1だったかのメニューがある。オムライスとか、グラタンとかが小ちゃくて、250円とかそういうお値だんなのでいろんなものをとって、ちょっとずつ味わうのにいい。この店の内装がとってもなつかしい。JRに乗って果てしなーく、遠くの町へ行ってしまったような気分になる。壁のところに意味もなくつばが並べてあるのは何だったんだろう。」とあります。このお店は洋食屋で有名というより、ブロマイドのマルベル堂の直営店という方が分かりやすいと思います。私は”変わりオムライス(魚介類のピラフをオムライスしてある)”と”ビックリライス(カレーとハヤシライスの真ん中をオムライスにしてある)”を食べました(それぞれ980円です)。

右の写真がBというお店です。正式名称は「ベル(bell)(下記の地図の?Cです)」でお店の紹介によると「日本映画全盛の時代、映画スターが当社のベルスタジオへ撮影にきました。その時食事やコーヒーを提供したのが当店のスタートです。創業者が後援会長を務めた俳優、長谷川一夫氏のアイディアによる量も半分、値段も半分、何でも50円の「片手洋食」を始め浅草に「片手のベル」としてその名を広めました。その精神を受け継ぎ現在は洋食はもちろん、和食、中華へとレパートリーを増やし、根強い「ベルファン」に支えていただいております。」とのことです。残念ながら現在のメニューにはハーフの物があまり見当たりません。

takami-asakusa02w.jpg<S太郎(染太郎)>
 S太郎はすぐに染太郎と判ってしまいますね。既に高見順の「如何なる星の下で」で紹介していますのでそちらの方を見てください。ここでは吉本ばななの「パイナツプリン」での紹介を記載しておきます。「お好み焼なら、本当は裏の方にあるTという店が味はいいのだが、外観から言うと、S太郎という古い古い店が楽しい。これは、菊水通りにあります。店全部が吹きぬけの板の間で、風が吹くと終わってしまいそうなおもむきである。鉄板の相席、もしょっちゅうで、こちらの角で焼いているお好み焼が、相席の人々の方にどろりと流れてしまって、えへへ……とか明るいムードになったりもする。…」と書いています。

左の写真がS太郎(染太郎)です。

yoshimoto-asakusa19w.jpg<ぎょうざのO様(餃子の王様)>
 最後が餃子のO様です。本では「特筆すべきは「ぎょうざのO様」(ちっとも名を秘してないってば、これじゃ)のぎょうざ様である。ウエイトレスだったのでさすがにランチでは行かなかったけれど、新仲見世を歩いて行って、ちょっと曲がったところにあるとこで、ぎょうぎとビールの取りあわせにはこわいものなしだ。どうやって作るんだろうか、皮もすごくばりっとしていておいしいのだが、内容物が、ほんとうに細かく、ペースト状にきぎんであるのだ。だから食べると何となくとろりと熱い。確か、おみやげOKだったが、焼きたてが最高であった。…と書いています。私は残念ながら焼きたてを食べる事が出来ませんでした。上記のお店を順に食べていたら、もう食べられませんでした。お土産に餃子を持ち帰るのがやっとで、自宅に戻ってからビールのつまみで美味しく頂きました。焦げ目はついていますが、全く油っこさがない、なかなかの味でした。(餃子:400円/6個入)

右の写真がぎょうざのO様、正式名称「ぎょうざの王さま(下記の地図の?Eです)」です。このお店は市販ぎょうざの「元祖」を名乗っているそうです。

<その他のお店>
 かの有名なKバー:神谷バー(下記の地図の?Fで、別に紹介します)
 お好み焼なら、本当は裏の方にあるTという店が味はいい:つくし(下記の地図の?Gで、別に紹介します)
 Pというパン屋:パリドール(昨年夏にお店は潰れてしまっています。看板はそのままです。)
 


吉本ばななの浅草地図
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【参考文献】
・パイナツプリン:吉本ばなな、角川文庫

【お店の住所】
・ROXビル:東京都台東区浅草1-25-15
・寺方蕎麦 長浦: 東京都台東区浅草1-13-1 ??03-3844-1922 月曜日休み
・ヨシカミ:東京都台東区浅草1-41-4 ??03-3841-1802 木曜日休み
・ベル(bell):東京都台東区浅草1-29-9 ??03-3843-2781 水曜日休み
・餃子の王さま:東京都台東区浅草1-30-8 ??03-3841-2552 火曜日休み
・神谷バー:東京都台東区浅草1-1-1 ??03-3841-5400 火曜日休み
・つくし:東京都台東区浅草2-4-13 ??.03-3844-3343 第二、四火曜日休み

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