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最終更新日:2006年2月22日


●村上春樹風 大晦日の過ごし方
  初版:2002/12/21 二版:2003/8/4 V01L01(鳩森神社の屋台のたこ焼き屋の写真を改版)

 そろそろ平成15年が近づいてきましたので、お正月のお話を取り上げてみたいと思います。昨年までは関東地区の初詣トップ4などを取り上げていたのですがあまり面白くないので、今年は村上春樹の「村上朝日堂」を参考にしながら”村上春樹風「お正月の過ごし方」”をお贈りします。「昔から正月というのはどうも不可解で納得できなかった。何故一月一日が正月で、何故正月が年の始めなのか、というところがうまく把握できないのである。必然性がまるでないような気がする。……」と「村上朝日堂」の「番外 お正月は楽しい(1)」に書いているのですが、翌年の「番外お正月は楽しい(2)」では「たしか去年のお正月のこのコラムで僕は「正月なんて面白くもなんともない」という意味のことを書いたと思うのだけれど、今年は正月はわりに楽しいというかんじで書いてみたい、僕はわりにそういうのが好きである。……まあとにかくお正月の話。…しかし何が楽しいといって東京の都心に住んでお正月を迎えるくらい楽しいことはないんじゃないかと僕は思う。僕はしばらく千駄ヶ谷に住んでいたのだけれど、この時はほんとにお正月が面白かった。…」と、なんだかわからないことを書いています。とにかく、東京で過ごす「面白いお正月の過ごし方」を、?@「大晦日の過ごし方」と、?A「元旦の過ごし方」の二回に分けてお届けしたいとおもいます。

<年越しそば>
 大晦日となると、やっぱり食べるのはお蕎麦ですね。「村上朝日堂」の中では「まず大みそかの夕方に歩いて六本木の狸穴そばに行ってそばを食べ…」、とありますが、残念なことにこの六本木の「狸穴そば」はもうありません。場所としては外苑東通りのロシア大使館の横、郵政事業庁飯倉分館の前当たりにあったのですが、残念です。村上春樹は「夢のサーフシテイ」の中で「…大晦日は結局六本木の「ほんむらあん」(字を忘れた)に行って蕎麦を食べました(しかし六本木って、あっと言う間に、なんだかもう昔の歌舞伎町みたいな感じになってしまいましたね)。…」、ともあります。「ほんむらあん」とは「本むら庵」と書きます。「本むら庵」の六本木のお店は支店で、本店は荻窪の上萩にあります。ここのお蕎麦は、手打ちでつなぎがほとんど入っていないため、蕎麦そのものの味がして、いつ食べてもおいしいです。ここもさすがのお蕎麦です。

左上の写真は「本むら庵」六本木店の「せいろそば」650円です。六本木の交差点から西麻布方面へ歩いた右側の一本目を右に曲がって直ぐのところにあります。


<新宿に出て酒を飲む>
 村上春樹と新宿は切っても切れない関係です。「番外 お正月は楽しい(2)」の中で、大晦日は「…新宿に出て酒を飲み、歌舞伎町をぶらぶらして映画を見て…」、と書いています。また、新宿で村上春樹風飲み屋といえば、みなさまよくご存じの「DUG」ですね。「ノルウェイの森」では「…ドイツ語の授業が終わると我々はバスに乗って新宿の町に出て、紀ノ國屋の裏手の地下にあるDUGに入ってウオッカ・トニックを二杯飲んだ…」、とも書いています。村上春樹が飲んでいたころの新宿と今の新宿ではかなり変わってしまっています。DUGも場所が変わっていますが、靖国通りに面してまだ二軒あります。時間がとれたら大晦日はDUGで「ウオッカ・トニック」を飲みましょう!!

左の写真が紀ノ國屋裏手の地下にある一軒目のDUGです。こちらの方が昔のDUGの雰囲気が残っているようです。二軒目の写真も見てください。

<歌舞伎町 映画館街>
 若いころの村上春樹はこれだけが楽しみ立ったようです。「とくに楽しいのは大みそかの夜に新宿のオールナイト映画館をはしごすることだった。夜の十時ごろからはじめて朝までに全部で六本くらい映画を観る。歌舞伎町東映を出るとシラジラと夜があけていてクールに新年という雰囲気はなかなかのものだった。「紅白」だとか「ゆく年くる年」などといった無意味なものは見たこともない。でも去年の大みそかに久しぶりに歌舞伎町を歩いてみたらオールナイトをやってる映画館が殆どなくなっていた。話を聞いてみると従業員や学生アルバイトが元旦の朝くらい家にいたいというもので、ということだった。残念なことである。何度も繰り返すようだけど、元旦の朝だからって特別なことなんか何もないじゃないですか。あるのかな。」、歌舞伎町の東映なんて、なにか懐かしいですね。どう言っていいのか分かりませんが、当時(昭和40年代)はこんな雰囲気が普通だったような気がします。

右の写真が新宿歌舞伎町の映画館街です。上映している映画は「ハリーポッター」ばかりでした。面白くないな!!!

<東郷神社>
 除夜の鐘がなる前にはお宮参りにいかないと、「…それから原宿に行って東郷神社でおみくじを引き…」、で、東郷神社です。「夢のサーフシテイ」では「初詣は大晦日に赤坂の豊川稲荷と、原宿の東郷神社と、千駄ヶ谷鳩森神社」、とも書いていますが、豊川稲荷は「元旦の過ごし方」の方で紹介したいとおもいます。私も東郷神社のおみくじを引いてみましたが、残念ながら小吉でした。おみくじは百円で安くていいです。東郷神社の御神体は、日露戦争の日本海大海戦でロシアバルチック艦隊を破った連合艦隊司令長官 東郷平八郎です。

左の写真が明治通りに面している東郷神社の正面入口です。

<原宿の喫茶店>
 喫茶店も昔から比べると様変わりしています。昔は応接セットのような椅子に座って議論しながら時間をかけてコーヒーを飲んでいたような記憶があります。現在ではスターバックスに代表される純粋にコーヒーだけを飲みに行くようなお店ばかりになってしまいました。村上春樹が大晦日に原宿にいくと「…喫茶店に入ってコーヒーを飲み、レコード屋のオールナイト・バーゲンをのぞき、屋台でたこやきを食べ、…」、と書かれていますが、この喫茶店はどちらなんでしょう。また、昔は表参道に屋台がたくさんでていたのですが、今は屋台が禁止され、道はきれいになりましたが、すこし寂しいですね。

右の写真は表参道の神宮前交差点から竹下通り側に少し歩いたところ値あるスターバックス原宿店です。村上春樹が千駄ヶ谷にいた時代にはなかったお店ですが、私がスタバファンなので掲載しました。また表参道にあるANNIVERSAIRE CAFE(アニヴェルセル)などはいいですね。パリのカフェの味が表参道で飲めます。ちなみにコーヒー一杯800円です。

<鳩森神社>
 最後は鳩森神社です。千駄ヶ谷にピーターキャットが移ってきたころには、村上春樹もこの近くに住んでいました。「…それから歩いて千駄ヶ谷に戻り、鳩森神社でお神酒をいただいて家に帰り、…」。ふだんはなにもない神社なのですがお正月にはお神酒があるようです。

左の写真は千駄ヶ谷駅方面の鳩森神社入り口です。正面は反対側です。千駄ヶ谷のピーターキャット跡から70m位の距離です。「屋台でたこやきを食べ」と書かれていますので原宿辺りでたこ焼きを食べたのでしょうが、この鳩森神社でも鳥居の側に屋台のたこ焼屋さんがありました。(初版では閉まった写真だったのですが、夏祭の時に開いていましたので更新しました)

鳩森神社の盆踊り大会で掛けられていたピーターキャットの提灯の写真は「千駄ヶ谷を歩く」を参照して下さい。

<ホール・アンド・オーツ>
 昭和40年代から50年代のグループなので、ほとんどの人が知らないのではないかとおもいます。「…おせちのだしまき卵なんぞをつまみつつ熱いそばを食べながらホール・アンド・オーツなんぞを聴き、それで寝ちゃうという寸法である。…」、と、好きな曲で世代がわかりますね。でも今年になって昭和56年のヒット曲「プライベート・アイズ」がソニーのデジタルカメラのCMに使われて、すこし有名になったようです。

右の写真がホール・アンド・オーツのCDです

これで安心して大晦日を過ごせますね!!


村上春樹風 お正月地図
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【参考文献】
・風の歌を聴け:村上春樹、講談社文庫
・1973年のピンボール:村上春樹、講談社文庫
・羊をめぐる冒険(上、下):村上春樹、講談社文庫
・世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(上、下):村上春樹、新潮文庫
・ダンス・ダンス・ダンス:村上春樹、講談社文庫
・ノルウェイの森(上、下):村上春樹、講談社文庫
・さらば国分寺書店のオババ:椎名誠、新潮文庫
・村上朝日堂:村上春樹、新潮文庫
・村上朝日堂の逆襲:村上春樹、新潮文庫
・村上朝日堂はいかにして鍛えられたか:村上春樹、新潮文庫
・村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた:村上春樹、新潮文庫
・村上朝日堂 はいほー!:村上春樹、新潮文庫
・辺境・近境:村上春樹、新潮文庫
・夢のサーフシティー(CD−ROM版):村上春樹、朝日新聞
・スメルジャコフ対織田信長家臣団(CD−ROM版):村上春樹、朝日新聞
・村上春樹スタディーズ(01−05):栗坪良樹、拓植光彦、若草書房
・イエローページ 村上春樹:加藤典洋、荒地出版
・イアン・ブマルの日本探訪:イアン・ブルマ(石井信平訳)、TBSブリタニカ
・村上春樹の世界(東京偏1968−1997):ゼスト
・村上春樹を歩く:浦澄彬、彩流社
・村上春樹と日本の「記憶」:井上義夫、新潮社
・象が平原に還った日:久居つばき、新潮社
・ねじまき鳥の探し方:久居つばき、太田出版
・ノンフィクションと華麗な虚偽:久居つばき、マガジンハウス
  

 
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