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最終更新日:2006年4月22日


●谷中 自性院(愛染かつら)から「澤の屋」さんまで
  
初版2000年6月3日 <V01L02>

 今週は台東区谷中の『愛染かつら』で有名な「自性院」から日本より海外で有名な旅館の「澤の屋」さんまでの散歩道をご紹介します。

 「花も嵐も 踏み越えて、行くが男の 生きる途、泣いてくれるな ほろほろ鳥よ、月の比叡を 独り行く」は皆様良くご存じ(歳がばれますが)西條八十 作詞、万城目正 作曲の『愛染かつら』の主題歌『旅の夜風』です。『愛染かつら』は、作家川口松太郎(べらんめえじーさん。探検隊シリーズで有名だった川口浩の父)が、雑誌『婦人倶楽部』(大日本雄弁会講談社刊)に昭和12年(1937)2月号から翌13年(1938)5月号まで連載した小説『愛染かつら』で、自性院の愛染明王像と本堂前にあった桂の古木にヒントを得た作品だといわれています。映画は松竹大船作品で、昭和13年9月15日封切られ、野村浩将監督、野田高悟脚色、田中絹代、上原謙主演で、レコード売上げ120万枚を記録した主題歌『旅の夜風』とともに、人々の心に潤いと安らぎを与えています。(旧吉田屋酒店がある谷中交差点から日暮里方面に歩き、一つ目の信号を左に曲がった所に左の写真の「自性院」があります。)

<自性院 愛染堂>
自性院は慶長16年(1611)に神田に創建、慶安元年(1648)現在地に移った古寺です。当院は,愛染堂に安置した愛染明王像で知られ、江戸文化が花開いたといわれる文化文政の頃(1804〜30)になると、その名は近在まで広がったと伝えられています。江戸時代中期頃から別名を俗に愛染寺といわれた由縁です。愛染明王は、特に縁結び、家庭円満の対象として信仰されています。

<「愛染かつら」のストーリー>
 大病院の御曹司 津村浩三と、同病院に勤める看護婦 高石かつ枝の大メロドラマ。浩三は、かつ枝に恋をする。彼女は、17歳の時に親同士の決めた許婚者と結婚し、妊娠中に夫に死なれて、子供を育てるために看護婦になったと言う過去がある。浩三は、親から大金持ちの娘と結婚する事をすすめられて、お見合いをしたが、かつ枝への想いを断ち切れず、彼女もその想いに答える事を決意する。”駆け落ち”の日に”自分の娘が高熱を出した”と連絡が入り、一緒に行けない理由を浩三に話すために新橋駅へと向かいます。刻一刻と、約束時間を無情にも指し続ける大時計。浩三の姿を見つけるかつ枝。だが、時はすでに遅く。列車は目的地に向けて動き出していました・・・ ・ 。

<三浦坂>
 「自性院」から細い道を不忍通りの方へ少し歩くと三浦坂です。『御府内備考』では三浦坂について「三浦志摩守下屋敷の前根津の方へ下る坂なり、一名中坂と称す」と記しています。三浦家下屋敷前の坂道だったので、三浦坂と呼ばれたようです。安政3年(1856)尾張屋敷の切絵図に「みうらさか」・「三浦志摩守」との書き入れがあるのに基づくと、三浦家下屋敷は坂を登る左側にあったみたいです。三浦氏は美作国(現岡山県北部)真島郡勝山二万三千石の藩主。勝山藩は幕末慶応の頃、藩名を真島藩と改めています。明治5年(1872)から昭和42年1月まで、三浦坂一体の地を真島町といっていました。別名の中坂は、この坂が三崎坂と善光寺坂の中間に位置していたのにちなんでいます。
この三浦坂の途中にねこグッズの「ねんねこ堂」があります。通りから一段下がったお店のショーウィンドにはいろいろなネコの置物がおいてあります。私も一つ猫の置物(ねむり猫)を買いました。1800円でやや高い感じです。包装をすると別料金なので箱のまま貰ってきました。通り側には「猫マップ」や「やなか道」等、谷中の地図がおいてあります。(右の写真の左側にある赤い旗のところが「ねんねこ堂」で、左の写真が私が購入した「ねむり猫」です)

<『澤の屋』さん>
 三浦坂からあかじ坂へ出た角が、東京・谷中の小さな日本旅館(Ryokan)「澤の屋」さんです。かつては修学旅行生でにぎわいましたが、いつしか閑古鳥が鳴くようになり、やむなく外国人を受け入れたようです。和風のままのスタイルで低料金が気に入られ、今ではいつも外国人で満員の盛況。文化・習慣の違いと言葉の障害が引き起こしたトラブルも数知れずあったようですが、主人の澤さんにはそれも楽しみとなり、下町の国際交流と評判になりました。似たような宿が浅草にもあるみたいです。根津神社入口の交差点界隈の食堂、焼鳥屋、釜飯屋は、英語のメニューがそろっており外国人の客人をもてなしてくれます。焼き鳥でビールを飲んでいると英会話の勉強ができる良い街です。澤の屋旅館さんのホームページ

最後に「芋甚 尾張屋」でコーンのアイスクリーム(130円)を食べて今日の散歩を締めくくりました。

谷中付近地図

【参考文献】
・東京の文学風景を歩く:大島和雄
・下谷、浅草、史跡をたずねて:台東区教育委員会

【見学について】
・澤の屋旅館:東京都台東区谷中2-3-11 03-3822-2251
・自性院 愛染堂:東京都台東区谷中6-2-8

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