川端康成特集が七週目になりかなり疲れてきました(本当は飽きてきたのです!)ので、今週は趣をかえて「トキワ荘物語」をお贈りします。今年の4月には手塚治虫の「鉄腕アトム」が誕生します(「鉄腕アトム」の漫画を読んだことのない方はよく分からないかもしれません)。漫画特集ということではないのですが、「手塚治虫」と「トキワ荘」を特集してみたいとおもっていました。丁度いい機会なので、今週は「トキワ荘物語」を歩いてみたいとおもいます。
<中華食堂 松葉> トキワ荘が建てられていた昭和20年代後半から30年代にかけては、日本の戦後が終り総理大臣が吉田茂、岸信介、池田勇人と変わり、所得倍増、高度成長時代へまっしぐらに進んでいた時代です。石ノ森章太郎の「トキワ荘の青春」では、「”青春とは、後からしみじみ想うもの”という、題も歌もさだかにはおぼりていないが、ボクの好きな歌がある。また”青春の味はほろ苦い”という言葉もどこかで見た。とにかく、恐ろしい程につらいあの瞬間も含めて、楽しいこともまた山ほどあったトキワ荘の数年だった。その数年がボクの青春時代だった。…」、と書いています。なにかこれはわかりますね。昭和30年代前後の雰囲気が残っているとすれば、「トキワ荘」について書かれた漫画でしばしば登場する「中華食堂 松葉」のラーメンではないでしょうか。その当時の建物がそのまま残っているのは、後で紹介しますがレコード屋の「目白堂」ぐらいでした。
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