< 祇園「一力茶屋」> 渡辺たをりの「花は桜、魚は鯛」ではまずお菓子の話から始まっているのですが、京都ですからやはり祇園のお茶屋さんから入りたいと思います。「都をどりの行われる祇園甲部歌舞練場は、いわゆる「祇園」という地域の最も華やかなところでもあります。……家並みも古くからの建物が残っていて一種独特の雰囲気を作り出しています。……たくさんあるお茶屋の中で、最も有名で、すぐにわかるのは、歌舞練場のほうから四条通りに出る右角、赤い壁の「一力」です。四十七士の大石蔵之助がいつづけをした、あの「一力茶屋」です。昔の「一力」と場所は違いますが、いまでも一流中の一流で、三月二十日には「大石忌」として、蔵之助をしのぶ催しが開かれ、四十七士の冥福を祈ることになっています。」とあり、建物も四条通と花見小路の角の一等地あり、大きくて立派です。花見小路は石畳で、周りの建物は昔のままの木造で、観光客にはなかなか趣があるようにみえます。花見小路をもう少し歩くと左側に「祇園甲部歌舞練場」があり、その先が建仁寺です。「一力茶屋」が有名になったのは「仮名手本忠臣蔵」七段目で大石内蔵助がよく遊んだ「祇園一力茶屋の場」として出てくるからです。また祇園の料亭と谷崎潤一郎の関係は「…祇園の料亭「鳥居本」のおかみは、「うちは出前はどこにもせえへんのどすけど、先生が『一力』にいるからどうしても頼む言わはりまして−」と「出前はしない」という鉄則をまげて、祖父のために「一力」まで出前をしたことがある、と教えてくれました。…ここの料理は独特で「祇園料理」と名が付いています。長崎から伝わった卓袱料理に京料理や普茶料理がまざったものということです。引き出しの付いた黒い塗りのお膳が銘々に運ばれて、この引き出しの中に黒塗りのお皿や小鉢が入っています。この食器に、次々に出てくるお料理をとり分けて食べるという趣向です。」とあります。やはり有名人は得ですね、無理が利きます。残念ながら私は「鳥居本」、「一力茶屋」ともまだ入ったことがありません。
★左の写真が「一力茶屋」です。現在の住所は京都市東山区四条花見小路四条下ルです、京都の住所表示は慣れないと全くわかりませんね、道路の名前が分からないとまずだめで、その上で例えば”今出川上ル”といわれても、なかなか土地勘が働きません。 「鳥居本」は「祇園甲部歌舞練場」の手前を左に曲がった、本当に昔からの京都の街並みといった感じの細い露地の右側にあります。
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