<「孫文と神戸」 陳徳仁 安井三吉(前回と同じ)>
今回の参考図書は陳徳仁
安井三吉著の「孫文と神戸」 です。対談形式で書かれていますが、重要な事はすべて書かれていました。大変参考になる図書です。特に神戸については、「孫文と神戸
関係地図(明治・大正)」と「孫文の来神(1895.11〜1924.12)」ですべて網羅されていました。今回はこの図書を参考にして歩いてみました。
「孫文と神戸」 陳徳仁 安井三吉著からです。
「 孫文と私
最近、私はよく次のような質問を受けます。あなたはいつ頃から孫文の研究を始めたのですか、と。いざこのように聞かれますと、答えに困ります。といいますのも、私は孫文の専門的研究者ではないからです。
専門的なことはともかく、私が孫文について関心を持つようになったのは、神戸華僑同文学校の四年生か五年生の時、一九三〇(昭和五)年頃だったと思います。当時、「党義」という授業があって、本来であれば孫文の三民主義を勉強する時間でしたが、先生はおそらく小学生にそんな話をしても理解できないと考えられたのでしょう、話題を変えて、もっぱら孫文について興味深い話をしてくれました。たとえば、少年時代、村の長老から太平天国の話を聞いて感動し小さな胸を躍らせていたこと、一七歳の頃、村民たちが神として崇めていた偶像を破壊したため、村に住めなくなって香港に渡ったこと、一八九五年、広東で武装蜂起を計画したが、失敗し、海外に亡命したこと。一八九六年の一〇月、孫文がロンドンで清国公使館に幽閉され、危機一髪というところを救出されたこと、…」
書かれている内容が分かりやすくて良いです。思想的なことは書かずに経緯を淡々と詳細に書かれていますので、とても面白く読むかとがでしました。
★写真は 陳徳仁 安井三吉著「孫文と神戸」 神戸新聞出版総合センターです。平成14年(2002)に増補版として発行されています。旧本は「孫文と神戸
(シリーズ兵庫の歴史 (3))」として昭和55年(1985)出版されています。