松本清張の「砂の器」を特集していますが、ページの編成をすこし変更します。東京蒲田と羽後亀田のページを分離、「東京編」、「羽後亀田編」に分けて掲載します。
今回の取材は、原作と、昭和49年(1974) 主演:丹波哲郎、加藤剛、森田健作で映画化された時の撮影場所を中心に紹介しています。2004年1月18日から始まる中居正広(SMAP)主演の「砂の器」は、原作とは少し違ったストーリーで、TBSのホームページを見ると、時代設定は現代、主人公を刑事役から犯人に置き換えています。中居正広が犯人役になるようです。テレビドラマの撮影場所が何処なのか愉しみです。(そちらも順次紹介したいとおもっています)
<羽後亀田へ> 事件の手がかりは、蒲田のトリスバーでの二人の話だけでした。「…これは、すみ子がその横を通るとき、ちらりと耳にしたのだが、言葉の調子がやはり東北弁だった。濁音の多い訛りが耳につく。若い方はそうでもないが、半白頭の人物の発音はひどかった。二人の話の内容はわからない。ただ、すみ子が、通りがかりに、ちらりと耳にしたのは年下の男の、「カメダは今も相変わらずでしょうね?」という言葉だった。…… ── 羽後亀田。今西は、瞬間に目の先がくらんだ。ここにも「カメダ」がある。だが、これは人名ではなく地名だ。鉄道の駅名だから「羽後亀田」になっているが、おそらくその辺一帯に「亀田」という町か村かがあるに違いない。カメダがここにあった!……」、東北弁と”カメダ”という言葉だけから、秋田の羽後亀田駅を見つけ出します。
【松本清張】 1909(明治42)年12月、福岡県小倉市(現・北九州市)に生れる。53(昭和28)年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。56年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。63年「日本の黒い霧」などの業績により日本ジャーナリスト会議賞受賞。70年菊池寛賞、90年朝日賞受賞。「点と線」「波の塔」「日本の黒い霧」「現代官僚論」「昭和史発掘」「古代史疑」「火の路」「霧の会議」「草の径」など多方面にわたる多くの著作がある。92(平成4)年8月死去。98年8月、北九州市に「松本清張記念館」が開館した。(文春文庫「松本清張の世界」より)
★右の写真は羽後亀田駅正面に架かっている駅名看板です。クリックすると駅全体の写真になります。 |