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最終更新日:2006年2月19日

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●「豆かん」散歩  2001年9月1日 V01L01

mamekan02w.jpg 今週は「豆かん」の美味しいお店を巡ってみました。「みつまめ」や「あんみつ」が好きな和菓子党の方は「豆かん」と聞くとすぐに分かると思いますが、ケーキ等の洋菓子の好きな方には、なかなか分からないと思います。「豆かん」は「豆かんてん」を略した呼び名で、左の写真の様に”かんてん”と”豆”に”黒蜜”をかけて食べます。非常にシンプルな和菓子のため、素材の善し悪しで味が決まってしまいます。吉行淳之介の「やややのはなし」の中に”蜜豆のはなし”が書かれています。「寒天と豆と黒蜜だけの蜜豆があって、「豆カン」と呼ばれているのを、初めて知った。この豆カンを、安岡章太郎はわざわざ浅草まで買いに行くのだそうである。そのことを聞いて、そのついでに少し買ってきてプレゼントしてくれと頼んだ。間もなく豆カンとあんみつ取混ぜて十個ばかり、安岡夫人が届けてくれた。この豆カンが旨かった。あんみつは女子供にはいいだろうが、私は少し疲れる。そもそもあんみつは銀座の月ヶ瀬の考案で、「あんみつはギリシャの神も知らざりき」というコピイもあった。あれは、たしか昭和十年頃のことだったろう。…」。で、ここに書かれている浅草のお店が下記の「梅むら」で、銀座の「月ヶ瀬」は現在の「コックドール」です。
 今日は東京でも特に美味しいと言われています(私の独断ですが!)”豆かん”4店をご紹介したいと思います。お近くの方は一度食べてみて下さい、ダイエット食ですので、若い人も年寄りも美味しく食べられます。

mamekan01w.jpg<梅むら>
 東京では一番有名な「豆かん」屋さんです。10人も入るといっぱいの小さなお店ですが、浅草の下町らしさが残っている数少ないお店の一つだと思います。吉行 淳之介の「やややのはなし」の中では「…その長谷川さんの手紙の一節に、こうあった。『豆カンは、ひょっとしたら舟和ですか。大正の末期から昭和の初め、浅草に住んでいた私は、小遣いを持っては舟和によく行きました』豆カンは、浅草の梅むらである。舟和というのは、私にとっては芋ようかんの店である。亡父が、浅草へ行くとこれを買ってきてくれた。竹の皮で包んであって、薄い黄色をしていて、甘さが淡くて旨かった。私の好物であった。」と書かれており、舟和と梅むらを取り違えていますね。”梅むらの豆かん”は寒天自体に味があり(少し色がついている)、豆が黒豆で柔らかすぎずパサパサもしない、蜜は黒蜜で味が濃い、このかんてんと豆と黒蜜の三つが上手く混ざって絶妙のハーモニーをかもしています。甘さ控えめがいいですね、お値段はお持ち帰りで450円(税込み)です。一度食べると他のお店の「豆かん」は食べられなくなります。

左の写真が梅むらです。浅草寺の裏手で、言問通りから一筋入った裏手にお店はあります。おじさんとおばさんがやっていて、お店の前の自転車等を見ると、本当に下町そのものという感じです。

mamekan03w.jpg<梅園>
 梅園は永井荷風で有名ですね。荷風の「踊り子(昭和21年)」には「…梅園でお汁粉をたべようとしたが、満員で入れないので…」とあります。梅園の創業は安政元年(1854)。浅草寺別院梅園院(ばいおんいん=庭に梅の木が多くあった)の一隅をかりうけて、茶店をひらいたのがそもそもの起りで、屋号「梅園」もそのゆかりだそうです。初代は元祖粟ぜんざいで評判をとり、浅草餅や米饅頭、などと共に浅草名物となりました。三代目に至り明治17年公園区画整理の際は、同店の出店が仲見世に4店をかぞえ、東都名物となっています(東都のれん會より)。”豆かん”よりは”粟ぜんざい”で有名な梅園ですが、「豆かん」も中々の物です。”梅園の豆かん”の寒天はふつう、豆は赤えんどう豆(塩気が強くてぱさぱさしている)、黒蜜は若干あまいです。梅むらを食べてからだと今一歩ですが、それでもなかなか美味しいですよ。お持ち帰りで370円(税別)。

右の写真が梅園です。仲見世通りから一筋外れた所にあります。お店はいつも混んでいて大変です。私はいつも”粟ぜんざい”と”くず餅”を頼みます。梅園はやはりこれが一番ですね。

mamekan05w.jpg<紀の善>
 今年の4月15日から始まったTBSの日曜劇場「ラブストーリー」の第一回目でこの「紀の善」の”抹茶ババロア”が登場しています。「ラブストーリー」では中山 美穂、豊川 悦司、香取 慎吾が出演しており、豊川がこの”抹茶ババロア”をグチャグチャにして食べていました。「なんだ、もう少し上手に食べろ」ですね!。紀の善では”抹茶バハロア”が有名なのですが、”紀の善の豆かん”もなかなか美味しいですよ。味は梅園に近い(どっちが先かは?です)のですが、豆がなかなか美味しいです。総合点では梅園より上かも!。お持ち帰りで450円です。

左の写真が「紀の善」です。いつもいっぱいで、お店で食べようとすると少々待たないと食べられません。テイクアウトだとすくに持ち帰れます。場所は神楽坂の交差点からすぐなので、分かりやすいです。

mamekan07w.jpg<いり江>
 このお店も一度テレビで紹介されています。皆様良くご存知、”関口宏”と”三宅裕司”が出演しています日本テレビの「どっちの料理ショー」の「白玉クリームあんみつ」と「杏仁豆腐」対決で”おいしい応援団”として登場しています。その時のパネラーは藤谷美和子、森公美子、さとう珠緒、ビビアン・スー、鈴木蘭々、山田五郎、草薙剛で、0対7で「杏仁豆腐」に完敗しています。「豆かん」がテレビに登場しないので残念なのですが、こちらの「豆かん」もなかなかのものです。このお店は昭和45年に寒天屋が転業して”甘味処いり江”になったお店です。寒天は大島産と神津島産の天草を使用しているそうなので、かんてんの色が違いますね、食べた感触がまた違います。”いり江の豆かん”の豆は梅むら風で、黒蜜は色が一番黒くてなかなかこくがあります。上記の3店に負けないお店ですね。お値段はお持ち帰りで430円です。

右の写真が「いり江」です。営団東西線と開通したばかりの都営大江戸線の「門前仲町駅」からすぐです。お店の前をもう少し歩くと深川不動尊と富岡八幡宮があります。ここも、もろ下町です。

豆かん散歩地図
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【参考文献】
・やややのはなし:文春文庫、吉行淳之介
・東都のれん會:東都のれん会の栞

【交通案内】
・梅むら:営団銀座線「浅草駅」下車徒歩15分
・梅園:営団銀座線「浅草駅」下車徒歩4分
・紀の善:JR中央線「飯田橋駅」西口下車徒歩3分、営団東西線/有楽町線「飯田橋駅」B3出口徒歩1分
・いり江:営団東西線/都営大江戸線「門前仲町駅」3番出口徒歩3分

【住所紹介】
・梅むら:東京都台東区浅草3-22-12 03-3873-6992 日曜定休日
・梅園:東京都台東区浅草1-31-12 03-3841-7580
・紀の善:東京都新宿区神楽坂1-12 03-3269-2920
・いり江:東京都江東区門前仲町2-6-6 03-3643-4581 日曜定休日

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