●「天国と地獄」の横浜を歩く(上) 2005年1月1日 <V01L01>
2005年の最初は黒沢明監督の「”天国と地獄”の横浜を歩く」を掲載します。あまりに有名な映画なので特に説明する必要はないとおもいますが、映画に沿って横浜から小田原 酒匂川鉄橋、江ノ島 腰越を歩いてみます。映画を見たことのない人は面白くありません。
<キングの身代金(KING’S RANSON)> 黒沢明監督の「天国と地獄」はエド・マクベインの「キングの身代金」がオリジナルです。エド・マクベインは87分署シリーズ(An 87th PrecinctNovel)で有名ですがその中の一つが「キングの身代金」です。ただ、黒沢明監督の「天国と地獄」では、ほとんど書き直されており、元の物語で残っているのは靴屋の重役と誘拐事件(運転手の子供が間違えて誘拐されるのは同じ)位です。「ハーブ河に面した長い弓なりの張り出し窓は、河面を二つの州にまたがって往来する引き舟や渡船の、夕暮れ前の往き来を見下していた。窓から見たそとの景色は、十月から十一月にかけての、昔ながらのさわやかに澄んだ秋景色。オレソジと黄金の色に染まった木々の葉が、あくまでも青くあくまでも冷たい青空に、くっきりと燃え上っている。部屋のなかは、葉巻や巻煙草の煙で曇っていて、…」、は「キングの身代金」の書き出しです。ハーブ河に面した建物が横浜の高台の家に変わっています。どうも「キングの身代金」とはイメージが合いません。題名の「天国と地獄」も海外では”High and Low”なので、原本とはどうなっているのかとおもいます。
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