<断腸亭日乗 岩波書店版>
平成14年(2002)に発刊された、岩波書店版の「断腸亭日乗」です。荷風全集は、旧版を持っています。新版の荷風全集は購入しなかったため、「断腸亭日乗」のみ、新版を購入しました。やっぱり新しい本の方が良いです。
「…停車場の構内は休戦以来自主除隊の兵にて雑遷すること甚しく、わが乗るべき列車の如き定刻に発するものは知らぬ間に廃され新なる臨時列車亦容易に来らず、待つこと二時間、わづかに貨物車の空しきものあるを見てこれに飛び乗り夜九時大阪の駅に著す、こゝにて東京行乗替の車を待つこと更に亦数時間、翌朝未明に至り初めて乗ることを得たり、呉軍港より放たれて帰る水兵にて車中雑沓す、…」。
「断腸亭日乗」の第六巻から、昭和20年8月30日の岡山駅の様子を書いています。岡山から大阪へは貨車に乗ったようです。夏だったから何とかなったのでしょう(午後4時に乗って夜9時に大阪着、5時間掛かっています)。大阪−東京間は列車本数も多いとおもいますので、困らなかったようです(ただし、大阪から東京まで14時間以上掛かっています)。
★写真は新版の「断腸亭日乗」第六巻です。全巻ありますが、昭和20年は第六巻なので、写真も第六巻にしてみてました。装幀が何となく気品があります。最初は図書館で必要なところをコピーしていたのですが、手元にないと不便だとおもい、購入しました。