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最終更新日:2018年06月07日


●稲荷寿司を食べ歩く
  初版2003年1月4日
  二版2006年2月3日
乙羽寿司、江戸の黒いなりを追加
  三版2012年6月18日 北鎌倉の「光泉」を追加
  四版2014年10月7日 <V01L01> 「まつむら」を追加

 今回は紹介は稲荷寿司です。本屋でなにか面白い本はないか探していたら、早川光の「東京名物」という文庫本が目に入りました。この本はもともと平成8年に新潮社から出版されていたのが、今回文庫本になったものです。この本の中から今回は「いなりずし」を紹介したいとおもいます。この本で紹介しているのは根津の「三花」さんなのですが、他のお店も合わせて紹介します。

 稲荷寿司の起源については「いなりずしがなぜ”いなり”ずしなのかというと、これは油揚げ−狐−お稲荷さん、という単純な連想ゲームによって生まれたものらしい。江戸末期に書かれた『守貞漫稿』には「天保(1830〜44)末年、江戸にて油揚げ豆腐の一方をさきて袋形にし、木茸干瓢を刻み交へたる飯を納て鮨として売巡る。(中略)なづけて稲荷鮨、或は篠田鮨といい、ともに狐に因ある名にて、野干(狐の異称)は油揚げを好む者故に名とす」と書かれている。こうして生まれた商品名が、二百年近くずっと使い続けられているというのも面白い。」、だそうです。すし飯と甘く煮た油揚げがよくあうことと、油揚げの中にすし飯を入れることを考案した人は偉いですね。

<稲荷寿司>
 早川光の「東京名物」の”はじめに”を読むと「東京に生まれ育った人間としてずっと訝しく思ってきたのが、新幹線の車内販売の「東京名物、草加煎餅に雷おこしはいかがですか」という口上である。いつ誰が勝手にこのふたつを東京名物と決めたのか。だいたい草加煎餅は埼玉の名物ではないのか。そんなささやかな疑念がこの本を書くきっかけとなった。…」、とき書いています。まったくその通りですね!、戦前からの本当の東京名物をお土産として持っていってほしいです。

左の写真が根津の「三花」さんの”いなり寿司”、”太巻”、”卵巻”です。他のお店と比べてご飯の量がたいへん多いです。


<稲荷寿司まつむら 浅草店>
 2014年10月7日追加

 テレビの散歩情報や雑誌の浅草特集等でよく出てくる稲荷寿司屋さんです。以前から知っていたのですが、浅草と言っても南千住に近く、交通の便が良くないのでなかなか訪問の機会がありませんでした。今回は車で訪ねて見たのですが、ナビに従ったら吉原を抜けていく道で、ビックリしました。
 「稲荷寿司まつむら」は
・浅草店:東京都台東区清川2丁目4−1(今回のお店)
・向島店:東京都墨田区東向島1-15-15
・千住支店:東京都足立区柳原2-23-6
 の合計3店舗となります。
 「まつむら」の表記については、浅草店は「まつむら」、向島店と千住支店は「松むら」となっています。
 食べると味は濃いいのですが、後味がサッパリしていて後に残りません。これは美味いという感触です。いくつでも食べられそうです。稲荷ずしの写真を掲載しておきます(包装済みの写真、中身の写真)。

右上の写真が「稲荷寿司まつむら 浅草店」です。お店は浅草店の名称なのですが雷門からは直線で1.4Km程あり、南千住からは800m程で南千住の方が圧倒的に近いです。アサヒ会通りにあるのですが、この当たりは交通の便が悪く、寂しい通りになっています。

 今回の写真はすべて携帯(XPERIA)で撮影しましたので余り綺麗ではありません、特に稲荷ずしの写真では、少し暗いところで撮影したので四隅で光量不足になっています(レンズの問題です)。

<光泉>
 2012年6月18日追加

 小島政二郎の「下谷うまれ」の中に美味しい”稲荷ずし”について書いていました。
 小島政二郎の「下谷うまれ」からです。
「千住の大橋の傍に、鈴木屋という稲荷寿司のうまい家があった。普通の稲荷寿司よりも横長の寿司で、お皿の端に黄いろい芥子が添えてあった。
 寿司は手掴みで食べるに限る。稲荷寿司にチョイとこの芥子を付けて食べると、味が引き立つ。外の寿司屋ではないサービスで、未だに芥子の黄色が目に残っている。
 戦後、横須賀線の北鎌倉駅で降りたすぐのところに、光泉という喫茶店のような家が出来た。はいって見ると、稲荷寿司が出来る。
 これが、形を味も昔の鈴木屋のにソツクリなのだ。ただし、芥子は付いていない。
 聞くと、千住の鈴木屋だという。戦争は千住の住人を北鎌倉へ連れて来てくれたりした。お陰で、いながらにして昔の名物を口にすることが出来て、私は喜んでいる。…」
 
”千住の鈴木屋”については調査不足です。北鎌倉駅駅前「光泉」の稲荷ずしを買ってみました。さっぱりした味でなかなかいけます。稲荷ずしの写真を掲載しておきます(包装済みの写真、中身の写真)。

右の写真が北鎌倉駅です。「光泉」は写真右側の薄茶色の建物です。お店の前には懐石料理のメニューしが掲示されていません。中に入って直接”いなり寿司”を頼みます。名前と個数を頼むと1時間位掛かると云われますので、1時間後に取りに行くわけです。一人前650円です。

<京都新京極四条上ル 寿司乙羽>
 2006年2月4日追加
 芸能人御用達の有名なお寿司屋さんです。いなり寿司よりは蒸し寿司で有名です。冬は穴子の蒸し寿司、夏は鱧です。古くからのお店ですので関西の方は皆様ご存じだとおもいます。乙羽さんのいなり寿司の特徴はあげがとても大きくて、その割にはすし飯の量が少しなので、食べやすいです。味は京都ですので薄味で何個でも食べられます。六個入りで780円でした。少し高いです。(写真は包装中身を掲載しておきます)

右の写真が京都新京極通りの寿司 乙羽です。四条通りから新京極通りを100m位入った右側どす(京都弁?)。

inarizushi11w.jpg<東京駅 江戸の黒いなり> 2006年2月4日追加
 他のホームページでも良く紹介されていますので皆様ご存じだとおもいます。八百善が監修したそうで、黒砂糖を使ったいなりずしです。だから黒いのだとおもいます。東京駅だけしか売っていませんので、出張や行楽のときに買い求められたらとおもいます。4個入りで550円です。(写真は包装中身を掲載しておきます)

左の写真が東京駅のキヨスクでの販売風景です。目立たないので気がつかないかもしれません。


inarizushi12w.jpg<根津 三花>
 ここのお稲荷さんはかなり濃厚です。「その濃厚味の中でもひときわ濃厚にして個性的なのが『三花』のいなりずしである。『三花』はご主人の森友衛さんが昭和二十九年に始めた小さな店。根津の迷路のような狭い路地の奥にひっそりとあるので、地元の人以外にはほとんど知られていない……はずなのだが、一日六〜七百個も作るいなりずしが連日完売してしまうほどの大人気…」、と書かれています。今はだんだん味が薄味化していますが、このお店は戦前からの味を守り続けており、本当の東京の稲荷寿司ではないかとおもいます。下記の2店と比べてもらえばすぐにわかります。いなり寿司60円、太巻350円、卵巻450円でした。

左の写真がいなり寿司「三花」さんです。ちょっとお店を探すのに苦労します。近くの方はいいのですが、他の区からこられる方はたいへんです。交通の便はただ一つ、営団千代田線の根津駅があるのみです。車でも、お店の正面には路が細すぎていけません。また周りの路も一方通行が多くてたいへんです。

inarizushi13w.jpg<上野 きつね寿司> 残念ながら04年5月31日で閉店です
 このお店はJR上野駅の正面にあり、昔から稲荷寿司では相当有名なお店でした。とくに鈴本演芸場(確信はない)で売っていた稲荷寿司がこの「きつね寿司」製だったとおもいます。「上野の「きつね寿司」のような濃厚味の…」、と書かれているのですが、根津の「三花」と比べると薄味です。ただ全体に上品な味になっています。私の個人的な好き嫌いでは「きつね寿司」のほうが合います。折り詰めに”いなり寿司4個、かんぴょう巻4個”入って770円です。(写真は包装折詰中身です)

右の写真が上野駅前の「きつね寿司」です。明治30年創業で、建物は昭和4年です。この辺りは空襲で焼けたとおもっていたのですが、この一画のみが焼け残っていたようです。それにしても古い建物です。

inarizushi18w.jpg<六本木 おつな寿司>
 このお店が有名になったのは、いなり寿司の油揚げを裏返しに使っているアイデアからです。赤坂/六本木界隈のテレビ局やプロダクションの”ロケ弁”でよく使われています(テレビにもよく出てきます)。味は「六本木の「おつな寿司」に代表されるさっぱり味のものと…」、と書かれている通り上品な薄味になっています。折り詰めには裏返しした油揚の”いなり寿司5個、かんぴょう巻4個”が入っていたのですが、いくらだったかよく覚えていません。消費税込みで800円位だったとおもいます。(写真は包装折詰中身です)。

左の写真が六本木「おつな寿司」です。おつな寿司は六本木のほかに渋谷、南青山、目黒などにあります。のれん分けなのかよく分かりませんが、味はほぼ同じです。六本木の土地によくあう”いなり寿司”だとおもいます。


東京稲荷寿司地図
haruki-shogatsu-map1.gif


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