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最終更新日:2006年4月22日

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堀之内(妙法寺)から高円寺を歩く 初版2000年10月7日 <V01L01>

 新宿駅で山手線から同じホームの中央線の黄色い電車に乗り換えて高円寺駅までやってきました。私の住んでいます大田区からは、少し遠いイメージです。

<江戸落語 堀之内>
 ・・・「堀ノ内の金比羅様を信心するんだ」、「堀ノ内の金毘羅様…」、「じゃあねえ水天宮様なに不動様…」、「なをいうんだよ、堀ノ内はお祖師様よ」、「ああ、お祖師様お祖師様、あわを食うな」、「おまえさんがあわを食うんだよ」、「そうきまったら明日の朝早いんだ、ふとんを出してくれ、寝ちまおう」と明るいうちから寝てしまいます。朝早く弁当を持って神田を出ますと・・・・・ 「堀ノ内へ行くにはこれを真っ直ぐに行きますかな」、「おまえさんどっちから来なすった」、「おまえさんどっちから来なすった」、「まねをしちゃあいけない、どこから来なすった」、「神田から来たんで」、「神田じゃあたいへんだ、後へ帰るんだ、ここは両国だ」・・・・やっとの思いで堀ノ内のお祖師様に着くと、「どうか、お祖師様、俺のそそっかしいのを直していただきとう存じます。一日一銭ずつさい銭を差し上げます。…あっしまった、たいへんだ、財布を投り込んでしまったぜ、これは驚いた、まあ二三日ご辛抱を願います、まとめておさい銭をはらいましたからそのつもりで・・・」と最後まで粗忽者(そこつもの)のままです。ちょっと落語が長くなりましたが、ここに出てくる堀ノ内のお祖師様が「堀ノ内やくよけ祖師」「妙法寺」です。この妙法寺は浅草寺と江戸っ子の人気を分け合うほどの人気を集め、門前は参拝者であふれていたそうです。太田萄山人(南畝)も「しゃれの内のお祖師さま」と狂歌に詠んだほど厄除けのご利益は江戸っ子に知れ渡っていたそうです。現在も「堀ノ内やくよけ祖師」はものすごく人気があるようで、特に10月12日〜13日のお会式はすごい人出だそうです。

<妙法寺>
 妙法寺の由来は、三百数十年前、元和(1615〜1623)の頃、元真言宗の尼寺でしたが、覚仙院日逕上人は老母妙仙院日圓法尼の菩提のため、日蓮宗に改宗し、老母を開山とし、日逕上人自らは開基第二祖となっています。山号は開山日圓上人にちなみ日圓山とし、寺号を妙法寺と号しています。当初は目黒碑文谷の法華寺の末寺となっていましたが、元禄12年 (1699)3月、身延山久遠寺の直末となりました。この時、法華寺からやくよけ日蓮大聖人の霊像を迎えています。この像があらゆる災難除けに霊験あらたかなことから人々の信仰を集め、世に「堀ノ内やくよけ祖師」と呼ばれ、江戸時代から現代に至るまで、霊験あらたかなことでひろく信仰を集めています。(妙法寺パンフレットより)

<妙法寺の鉄門> 《重要文化財》
 この鉄門は、明治11年(1878年)、鹿鳴館、上野博物館、ニコライ堂などを設計し、日本の近代建築学会の恩師といわれる英国人ジョサイア・コンドルの設計により作られました。和洋折衷様式の鉄門として類の少ないものです。門柱左右の漢詩は当時の身延山第七十四世吉川法主の筆跡で「花は浄界に飛んで、香りは雨となる、金は祇園に布て福は田に有り」との意味だそうです。漢詩は難しいですね。

 ジョサイア・コンドル(Josiah Conder 1852-1920)
 日本の近代洋風建築の普及に最も功績のあった英国人建築家。ロンドンに生まれ、東京にて没。1877年来日。工部省技師、工部大学校(現東京大学工学部)教師等をつとめています。建築教育の制度を整え、日本人建築家の育成に力を注ぎました。弟子に辰野金吾(東京駅の設計者)等がいます。作品には鹿鳴館(1883)、ニコライ堂(1891、現存)、綱町三井倶楽部(1913、現存)等があります。

<高円寺>
 高円寺駅という駅名が在るので、必ず高円寺というお寺が在るのではと思っていました。今回かなり期待していましたが、訪問してみると期待通りのお寺でした。江戸城から約三里程のこの辺りは、遠乗りや鷹狩りに絶好の行楽地であったようです。三代将軍家光はしばしば行楽に訪れ、その都度高円寺の茶室で休息したと伝えられています。ある時、家光が住職の耕岳和尚に何か欲しいものはないかと尋ねたところ、和尚は、出家の身には所望はないが、ただ茶が好きなので、茶の木を下さいと答えました。家光は和尚の高潔に感心し、宇治より茶の木を取り寄せて境内に植えさせたということです。また、このような家光と高円寺の親しい関係から、小沢村と称していた村名もいつしか寺名をとって高円寺村と呼ばれるようになったといわれています。徳川家ゆかりの寺なので「葵の紋」が所々に見られます。現在の本堂は、昭和29年に再建された建物で天狗面の鬼瓦は素晴らしく、向かって右が雄、左が雌だそうです。

<ふるや古賀音庵>
 堀ノ内から少し離れていますが、お団子の美味しいお店を紹介します。お店は創業以末「富留屋」という屋号でしたが、昭和58年、作曲家古賀政男氏より古賀音の屋号をいただき、「ふるや古賀音庵」という屋号に変わっています。古賀政男氏がよっぽどお気に入りだったのではないかと思います。特に美味しいのは「ゴマ団子」です。国産の上質黒胡麻を使い、添加物は一切使用していないそうです。箱売りなのですが、フタをあけるとぎっしりと詰まった黒胡麻に圧倒されてしまいます。
古賀音だんご 黒胡麻       5本入1箱 800円
   〃     和三盆入黒胡麻   〃    900円
   〃     きな粉         〃    700円
   〃     みたらし        〃    600円
ぜひとも、一度食べてみて下さい。本当に日本の味です、絶品です。

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【参考文献】
・すぎなみの散歩道:杉並区振興課
・東京のお寺神社謎解き散歩:廣済堂 岸乃青柳
・江戸東京歴史ウォーク:歴史と旅3/10増刊号
・歴史と文化の散歩道:東京都生活文化局
・古典落語:講談社
・妙法寺パンフレット

【交通のご案内】
・JR中央線「高円寺駅」南口下車、営団地下鉄丸ノ内線「新高円寺駅」下車

【見学について】
・妙法寺:東京都杉並区堀ノ内 3-48-8 電話 03-3313-6241
・高円寺:東京都杉並区高円寺南 4-18-11
・ふるや古賀音庵:東京都渋谷区幡ヶ谷3−2−4 電話 O3-3378−3003
  (日本橋三越、伊勢丹等で購入できます)
 

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