<南京町>
前回の最後は”トンプソン商会”でしたが、今回の最初は堀辰雄の「旅の絵」に従って、南京町を紹介します。神戸の南京町は横浜とは規模が全く違います。200m程の通りの両側のみです。
「…それからまた、私たちはその窓から電話やタイプライタアの強請ったり吃ったりする音の聞えてくる商館の間を何となくぶらぶらしてみたり、今では魚屋や八百屋ばかりになった狭苦しい南京町を肩をすり合せるようにして通り抜けたりしたのち、今度はひっそりした殆ど人気のない東亜通りを、東亜ホテルの方へ爪先きあがりに上った。……」。
堀辰雄と竹中郁は西町の”トンプソン商会”の後、旧居留地の中を歩いたのだとおもいます。その後、南京町を通って、鮎川筋の「画廊(大塚銀次郎の画廊)」を通って、トアロードに向かいます。谷崎潤一郎の「細雪」にも南京町の”東雅楼”が登場しています。
★写真は大丸神戸店の前の南京町入口です。元町通りの入口の左側になります。小さな南京町ですが、今はかなり活気がある南京町になっています。大森一樹監督で映画化された村上春樹の「風の歌を聴け」でも登場しますので、一度歩いてもよいとおもいます。