今週は昭和57年5月号「太陽」の特集”地図であそぶ”から、村上春樹の「坂下のおでん屋コンボイ」を歩いてみたいとおいます。村上春樹が”おでん屋コンボイ”を引っ張って歩くというわけではなくて、「太陽」の特集で、まだ新米の村上春樹が新宿の街をオリエンテーリングをしながら歩いているのを「太陽」が取材している訳です。
<月刊誌「太陽」>
『太陽』が平凡社から創刊されたのは1963年で、今から40年ほどまえです。翌年の1964年には「東京オリンピック」が開催されようやくカラーテレビが売れ始めたころです。最初は売れなかった様ですが1970年代に入ってビジュアル雑誌が増えてきたころから歴史・文学・旅という3つの柱を掲げたことが当たって『太陽』もピークを向かえます。嵐山光三郎、筒井ガンコ堂、渡辺直樹、斉藤和弘などがいたころで、このころが「太陽」が一番キラキラ光っていたころです。昭和57年の5月号では”地図であそぶ”を特集しており、その中で”街頭オリエンテーリング”を企画していて村上春樹、野田秀樹、阿奈井文彦の三人が歩いています。村上春樹は自分自身が最もよく通った新宿を歩いています。「このオリエンテーリングのルールは、●ショルダーバッグの人に会ったら右へ曲がる。●ブーツをはいた人に会ったら左へ曲がる。●帽子をかぶった人に会ったら真直ぐ。制限時間3時間」、いったい何処を歩くのでしょうか、楽しみです。
★左上の写真は昭和57年の5月号「太陽」です。村上春樹が千駄ヶ谷のピーターキャットを閉めて、千葉に転居し「羊をめぐる冒険」で第4回野間文芸新人奨励賞を受賞したころです。まだまだ新人の作家の頃で、このような取材も断れなかったのでしょう。いまなら絶対受けつけない取材ですね。
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