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国分寺書店>
国分寺の駅から一番近くて有名な古書店が国分寺書店ではなかったのかなと思います。椎名誠の「さらば国分寺書店のオババ」で書かれているので結構有名なのですが、残念ながらもうありません。古本屋から陶器の専門店になり、惣菜屋から貴金属のお店になっています。村上春樹の「村上朝日堂
スメルジャコフ」のなかにも書かれています。
「…もう20年以上前の話です。国分寺もずいぶん変わってしまいました。このあいだ行ったら、なにがなんだかわからなかったです。有名な「国分寺書店」もなくなっちゃってましたしね。…」、
また「村上朝日堂 夢のサーフシティー」のなかにも書かれています。
「…椎名誠さんの本で有名な「国分寺書店」がありました。なかなか良い古本屋さんだったのですが、今はもうありません。おばばはそんなに怖くなかったですよ。…」
椎名誠の「さらば国分寺書店のオババ」を読んでいないとよく分からないフレーズですが地元の人にはかなり有名だったのですね。「村上朝日堂の逆襲」では
「…買い物のついでに「国分寺書店」に寄って本を売ったり、安い古本を買ったりした。それから家にかえって簡単に昼食をとり、アイロンをかけ、ざっと掃除をし(僕は掃除が苦手なのであまり丁寧にはやらない)、夕方まで縁側に座って猫と遊んだり本を読んだりしてのんびりと過ごす。なにしろ暇なものだから、僕はこの時期だけで、「講談社・少年少女世界名作全集」を読破したし、『細雪』なんて三回も読んだ。…」、
「細雪」を三回も読むなんですごい(やっぱり芦屋出身だからかな!)!
★左上の写真は現在の「国分寺書店」の跡です。右側のビルのところです。表通りから裏通りまで貫通したビルで、上記にも書いていますが表通り側は、少し前までは惣菜屋でしたが、現在は貴金属買取店になっています。時代を象徴していますね!
椎名誠の「さらば国分寺書店のオババ」からも掲載しておきます。
「… たとえば、ある日おれは国分寺の古本屋に本を売りに小平市からダンボールに入った本を実用自転車にのせて、エイヤッエイヤッというふうに熱心に国分寺までやってきたわけです。
国分寺には古本屋が二軒あって、なぜか二軒とも国分寺駅南口にあるのだ。一軒は国分寺書店といって、ここはわりあい幅ひろいジャンルの本が揃っているのだけれど、店主がしなびたバアちゃんで、意のわりにはイヤにすきとおった若々しい声を出すのだけれど、これがまあじつにモーレッ的にうるさいバアちゃんなのね。
たとえば一冊棚から本を出して眺めるとするでしょう。するとそのオババはじっとその人を眺めているわけ。
そしてすこしランポウに本をめくったり、カバーのパラフィン紙をガシャガシャとすこしぞんざい気味に扱ったりすると、即座にスルドイ声でおこられてしまうのである。…」
椎名誠は国分寺書店に古本を売りに行くつもりだったのですが、結局、売りに行けずにもう一軒の古本屋に持って行き、買いたたかれてします。この後は本を読んで下さい。もう一軒の古本屋は現在の「国分寺ステップス」のところにあり、ミカドキッチンと梨花中華に挟まれていました。現在はありません。