< 二代目のジェイズ・バー(推定)>
村上春樹の初期三部作でしばしば登場するジェイズ・バーを訪ねてみました。村上春樹の作品ですから当然架空のお店ですが、実在のお店をモデルにして書かれているようです。また、三部作の最後の「羊をめぐる冒険」ではジェイズ・バーが三代に渡って移り変わっていることが書かれています。「…僕が昔ジェイから聞きだした話によると彼は一九五四年に基地の仕事をやめてその近くに小さなバーを開いた。これが初代のジェイズ・バーである。バーは結構繁盛した。客の大半は空軍の将校クラスで、雰囲気も悪くなかった。店が落ちついた頃にジェイは結婚したが、五年後に相手は死んだ。死因についてはジェイは何も言わなかった。一九六三年、ベトナムでの戦争が激しくなってきた頃にジェイはその店を売って、遠く離れた僕の「街」にやってきた。そして二代めのジェイズ・バーを開いた。それが僕がジェイについて知っていることのすべてだった。 …… 僕が十八の歳に街を離れると鼠がそのあとを継いでビールを飲みつづけた。一九七三年に鼠が街を出てしまうと、そのあとを継ぐものは誰もいなかった。そしてその半年後には道路拡張のために店も移転することになった。そのようにして二代めのジェイズ・バーをめぐる我々の伝説は終った。三代めの店は…」。ジェイズ・バーが二代目で全てが終わったように書かれています。村上春樹が書く芦屋の町の話は「羊をめぐる冒険」で全てが終わったようです。
★左上の写真が推定二代目のジェイズ・バーです。上記にも書きましたが芦屋の町は平成7年(1995)の地震ですっかり変わってしまっていました。その中で二代目のジェイズ・バーを探すのは苦労しましたが、三部作に書かれているジェイズ・バーについての記述を参照して推定してみました。
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