<「喫茶店の時代」>
戦前の喫茶店について書いた本がないかと探したら、林哲夫氏の「喫茶店の時代
あのとき、こんな店があった」、という素晴らしい本を見つけることができました。第15回(2002年)尾崎秀樹記念・大衆文学研究賞(研究・考証部門)を受賞されています。本当によく調べられている本です。この本のなかには立原道造についてもページを割かれていました。
林哲夫の「喫茶店の時代 あのとき、こんな店があった」から、”新々堂”の項です。
「進々堂
京都市左京区、東大路通りと今出川通りの交差点(百万遍)から東へ少し歩くと 「進々堂」がある。道路を挟んで南側は京都大学工学部。薄茶のタイルを張ったその建物は今も独特な風格を漂わせている。
立原道造は昭和十三年(一九三八)、長崎へ向かう途次、京都に立ち寄った。十一月二十五日夕刻、奈良から京都駅に着き、河原町のアサヒ・ビルの向かいのレストランで夕食を摂った。水戸部アサイに宛て 「たうとうひとりで京都に来てしまった」 で始まる葉書を投じた後、吉田へ芳賀檀を訪ねてそこに泊まった。…」
新々堂は京都百万遍にある戦前からの喫茶店です(建物は戦前のままです)。喫茶店というよりはパン屋さんの方が有名で、私も京都を訪ねた折は京都駅前にあるお店でパンを買って新幹線に乗ります)。百万遍ですから京都大学の北側になります。この辺りのお話は別途掲載する予定です。
★上記の写真は林哲夫氏の「喫茶店の時代 あのとき、こんな店があった」、編集工房ノア版です。ただ、この本は現在なかなか手に入りにくくなっています。2002年刊ですから9年前になり、増刷されていないようで、新刊書では入手不可です。「日本の古本屋」で検索してもでてきません。