＜「ファミリア創業者 坂野惇子」 中野明 中央公論新社＞
　NHK朝ドラの「べっぴんさん」の視聴率はずーっと２０％前後のようです。近頃のテレビ離れから考えると非常に高い視聴率におもえます。私もテレビはほとんど見なくなりましたが、朝はNHK_BSプレミアムを６時半頃から８時頃までつけっぱなしにしていますので、自然と見ることになります。テレビよりはYouTubeの方がよく見ているのではないかと思ってしまいます。

　中野明氏の「ファミリア創業者 坂野惇子」から、プロローグです。
「　　　プロローグ

　ファミリアのデニムバッグつて、知ってる？
　大阪と神戸の間を阪神間と呼ぶ。この阪神間、中でも山の手に住む女子中高生のファッションには独特の特徴がある。ひとつはスカート丈が長めだということだ。少なくとも極端に短いスカートをはく女子中高生にお目にかかることはまずない。
…」。
　関西の方ならファミリアは知らない人はいないとおもいます。有名です。ただ近頃はユニクロ等に押されていますね、量販を目指すなら海外進出は避けて通れない道ですし、高付加価値路線なら、それなりの店舗展開が必要です。神戸駅近くにあった本社ビル（旧三菱銀行支店のビル、2006年撮影）も売られたようで、経営は大変そうです。

★写真は中野明氏の中央公論新社版「ファミリア創業者 坂野惇子」です。今回は通販ではなく、直接本屋で少し読んでみてから購入しました。本は何処で買っても値段が変らないので、同じような本が複数出ているのなら、実際に少し読んでみてから購入した方が良いです。

＜BABYSHOP時代＞
　NHK朝ドラの「べっぴんさん」で、始めてお店を出したのが神戸の港町商店街にある”あさや靴店”なのですが、この場面は中野明氏の「ファミリア創業者 板野惇子」を参考にして場所を探してみました。

　中野明氏の「ファミリア創業者 坂野惇子」からです。
「…　トアロードを山側から下り三宮センター街を左に折れた、山側の３軒目にあるモトヤ靴店内の２台のショーケース、これが惇子たちの店舗のすべてだった。
　店名はモトヤ靴店内にあることから「ベビーショップーモトヤ」となった。…」
　”トアロードを山側から下り三宮センター街を左に折れた、山側の３軒目にあるモトヤ靴店内”は、商売では、三宮というより神戸の一等地です。戦前は三宮より西にある新開地が繁華街だったのですが、戦後は交通の便の良い三宮に移っています。その中でも三宮センター街は一番です。この一等地に出店出来たのですから、戦後の物のない時代とベビーブームと相まって売れないはずはありません。

　＜三ノ宮と三宮の違いについて＞
　現在、JRのみが”三ノ宮駅”と表記しています。その他の駅名は全て”三宮”です。初期の三ノ宮駅（高架になる前）は現在の元町駅のところにあり、この附近の地名が三宮神社に因んで三宮と呼んでいたので、混同しないように”三ノ宮”としたとのことです。ただ、昔の地図を見ると大正時代までは三宮駅の表記になっています。昭和５年以降の高架化に伴って”三ノ宮駅”となったようです。

★写真は現在の三宮センター街、トアロード側入口です。右側にドンクがあります。このドンクも古くて、昭和２２年（1947）にお店を出しています。”あさや靴店”＝”モトヤ靴店”はこの左側角から三宮センター街を右に三軒目にありましたので、現在のゼロゲート三宮ビルの右端辺りではないかと推測しています。住宅地図は昭和３１年からしかなく、右に２軒目となっています（下記の地図参照）。”モトヤ靴店”から独立して隣の３坪の店を持ったのが昭和２４年１２月、翌年の昭和２５年４月には三宮センター街とトアロードの角地に店を持ちます。昭和３４年の住宅地図ではお店の名前がファミリアになっています。このお店の場所が写真の左側角になるわけです。（写真は動画のFHDから持ってきていますのであまり綺麗ではありません）

＜現在のファミリア＞
　ファミリアの会社の成立ちについても調べてみました。登記所に行けば見れるのですが、時間がかかるので神戸市商工名鑑で探してみました。毎年、名鑑が有るわけではないので、近いところで昭和２９年で見てみました。

＜神戸市商工名鑑　昭和２９年＞
・（株）ファミリア　鯰弘典（代表）　生田区三宮町２丁目３２８　２１(従業員)

　社長の元田が退任したのは昭和２８年で、その後の３年間は社長不在だったそうで、その間の代表者とおもわれる”鯰弘典”についてはよくわかりません。

★写真は現在のファミリア元町本店です。元町通りを大丸前から１５０ｍ程入った左側にあります。派手さはありませんが、しっかりとした店構えです。何時移転したのか正確な時期が分かりません。昭和４６年の地図には記載がありました。

　今回は以上です。来年３月末までの限定掲載とさせて貰います。