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最終更新日:2006年3月26日

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●「カレー南蛮」を歩く  2001年10月27日 V01L02

 今年春の「カレーうどん」に引き続いて「カレー南蛮」を歩いてみたいと思います。カレー南蛮というと蕎麦屋専門の言い方で、「南蛮」を国語辞書で引いてみると「東南アジアの国々の称。ポルトガル人・イスパニア人の総称。」と出てきます。でも一般には唐辛子やねぎのことをいい、蕎麦屋で「南蛮」といえば「ねぎ」をいいます。ですから蕎麦屋の「カレー南蛮」はカレーにネギが入った物なのですが、今では種々雑多で玉葱が入っている方が多そうで、こちらの方が美味しそうです。
 

curry-nanban02w.jpg<翁庵(昔からの上野駅前蕎麦屋さん)>
 上野の駅前に有る昔からの蕎麦屋です。関東風のお蕎麦を食べさせてくれます。昔からの標準的な東京のお蕎麦を食べたければここにいけばいい訳です。藪蕎麦的な高級なお蕎麦ではなくて、庶民の食べる下町の大衆蕎麦屋と考えて頂ければばっちりです。

左の写真が「翁庵」のカレー南蛮です。上にも書いた様にカレーに長ネギがそのまま入っています。あつ あつで湯気が出ていますね。これに細切りのネギを加えて食べれば絶品です。この「カレー南蛮」さえ食べればもう私は江戸っ子になりきれますね。

curry-nanban03w.jpg<三朝庵(早稲田 馬場下)>
 この三朝庵も江戸時代からの有名な蕎麦屋です。堀部安兵衛「高田馬場の仇討ち」で有名な早稲田 馬場下にあるためか、お店に入ると早大関係の有名人の色紙と写真がたくさんおいてあります。特に有名なのは、カツ丼とカレー南蛮(いろいろの説があり、「カレーうどん」というほうが正しい?)です。井上宏生の「日本人はカレーライスがなぜ好きなのか」によると「日本ではじめて「カレーうどん」を世に送りだした店がある。東京・早稲田にある「三朝庵」である。三朝庵は穴八幡神社のむかいに江戸時代から店をかまえていた。江戸後期、このあたりは紀州徳川家の下屋敷だったが、維新後、大隈重信がこの地に東京専門学校、いまの早稲田大学をおこす。…大隈もここの蕎麦を好み、たびたび舌つづみを打っていたという。…彼は老舗の存亡をかけてカレーうどんの開発に情熱を注ぎ、試行錯誤ののち、二年後、あのとろみのあるカレーうどんを発明したのだ。一九〇四年ごろのことである。カレーうどんはたちまちハイカラ志向の学生たちの評判をあつめ、…」とあります。、1904年は明治37年ですので、この頃に売り出した訳です。またこのお店が変わっているのは、きつねとたぬきと月見の入ったむじなそばや、玉ネギと豚肉の上に揚げ玉をかけた開化丼など、早稲田ならではのメニューを生み出していることです。「カレー南蛮」は780円です。

右の写真が馬場下の交差点の角、丁度穴八幡神社の筋向かいに有る三朝庵です。場所も良く、昼の時間はいっぱいですね。少し昼の時間を避けた方が空いています。

curry-nanban05w.jpg<朝松庵(中目黒)>
 こちらも明治時代からの蕎麦屋です。明治41年秋、「カレー」を新しい種物として、「うどん」に掛けて「カレー南ばん」、「ご飯」に載せて「カレー丼」として大阪は谷町で「東京そば」と号して手打ちの店を始めたのが最初です。大阪での大成功から、明治43年東京の店でも売り出したのです(朝松庵のパンフレットから)。井上宏生の「日本人はカレーライスがなぜ好きなのか」によると「カレーうどんを発明したのは早稲田の三朝庵だが、「カレー南蛮蕎麦」を発明したのは目黒の蕎麦屋「朝松庵」だとされている。朝松庵の創業は一八九二年ごろだといわれるが、この店も三朝庵同様、カレーライス人気に押され、日を追うごとに客足が遠のいていた。そこで、当時の主人が洋食と蕎麦との折衷料理を考えだし、「カレー南蛮蕎麦」を誕生させたのだった。夏目漱石が 『三四郎』を書いた翌年、一九〇九年ごろと伝えられる。」とあります。こちらも由緒ある「カレー南蛮」なのです。1909年は明治42年なので、お店のパンフレットと時期が少し違いますね。

左の写真のセブンイレブンの横が朝松庵です。早稲田の三朝庵に比べると少々くたびれた風のお店です。場所が余りよくなくて、東急東横線の中目黒駅から徒歩15分位掛かります。中目黒銀座商店街の終わりの方で少々遠すぎます。一時過ぎに行ったらガラガラでした。味は、ま、昔の「カレー南蛮」という感じで、なかなか美味しかったのですが、駅から遠くて着くまでに疲れてしまいました。650円です。

curry-nanban07w.jpg<角屋(日本テレビ通り)>
 本当に美味しい「カレー南蛮」のお店を紹介します。ここの「カレー南蛮」にはネギの代わりに玉葱と豚バラ肉が入っています。当然細切りネギもついてきます。まず、タマネギが甘くて美味しい、蕎麦との組み合わせがペスト、東京の新しい「カレー南蛮」という感じ、器が大きくて、蕎麦もたくさん入っていて食べ応えがあります。なかなか美味しかった。壁に「カレー南蛮」と書いてあるポスターを何枚も貼ってあります。お店のお客さんの殆どが「カレー南蛮」を食べていました。

右の写真が角屋です。市ヶ谷駅から新坂を登って日本テレビ通りを少し歩くと、右側のビルの一角にあります。カレー南蛮750円です。


 

「カレー南蛮」地図
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【参考文献】
・日本人はカレーライスがなぜ好きなのか:井上宏生著、平凡社新書
・文人悪食:新潮文庫、嵐山光三郎

【住所紹介】
・翁庵:東京都台東区東上野3-39-8 ?Z03-3831-2660 日曜休み
・三朝庵:東京都新宿区馬場下町62 ?Z03-3203-6218 木曜休み
・朝松庵:東京都目黒区上目黒2-42-12 ?Z03-3712-1807 日曜休み
・角屋:東京都千代田区六番町4-11朝日六番町マンション103 ?Z03-3261-0066 日曜休み

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