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最終更新日:2006年2月19日

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「岡埜栄泉」を歩く
 初版2000年10月14日
 二版2005年5月7日 善光寺と小石川岡埜栄泉を追加
 三版2005年6月29日 上野駅前の「岡埜栄泉」の内容修正 
<V01L02>

 タイトルを見ても何の事か分からない方がほとんどだと思います。和菓子が好きな方というか、豆大福を好きな方はすぐに分かると思いますが、東京に30数店あるといわれています同名の和菓子店「岡埜栄泉」(おかのえいせん)を廻ってみたいと思います。



善光寺の岡埜栄泉>
 神社やお寺の周りにある石柵に寄進者の名前が刻まれているのをよく見かけますが、このお寺は石壁の中に寄進者のお店と個人名が書き込まれていました。私がこのお寺の前を歩いていてふと石壁を見ると、岡埜栄泉の名前が複数あるではありませんか。それも、相当古そうに見えました。空襲で焼けたとおもうのですが、石壁は焼け残ったのでしょうか。このお寺の石壁に「岡埜栄泉」と書かれていたのは五軒で、「上野山下」、「小石川同心町」、「本郷森川」、「九段坂下」とあり、この四軒の寄進者名は全て岡埜で、残りの「牛込納戸町」は濱野となっていました。「上野山下」は現在の上野駅前の岡埜栄泉?(現在の上野広小路の岡埜栄泉の名前は岡埜ではない)、「小石川同心町」は現在の小石川岡埜栄泉(現在の小石川岡埜栄泉は小石川一丁目にあり、小石川同心町は小石川四丁目付近のはずで少し離れているが多分 間違いない?)、「本郷森川」は本郷六丁目にあったのですが現在は無くなっています(確認済み)。”九段坂下の岡埜栄泉”については戦前に廃業されたそうです(メールを頂きました)。「牛込納戸町」についてはまだ未調査で不明です。時間をかけて調べてみたいとおもいます。

左上の写真は善光寺です。小石川三丁目17の善光寺坂の途中にあります。このお寺の石壁には寄進者の名前がぎっしり書き込まれています。右側の写真は岡埜栄泉の五軒だけ取り出してみたものです。クリックして拡大するともう少し細かく見ることができます。


岡埜栄泉総本舗 上野駅前>
 パンフレットによると創業は明治6年、それ以来ずっと上野駅前で和菓子の製造をしてきたそうです。とくに最中は泉鏡花も好んで食べられたそうです。「…菓子のついでに、前田邸前の羊羹で有名な藤村や、少し格は下がるだろうが、一般向きの岡野などのことも書きたいが、藤村のカステラが一種特別な製法で在るのと、岡野が最中で有名なことぐらいにしておこうか。…」は「大東京繁昌記(山手篇)」の徳田秋声の「大学界隈」に書かれていいます。ここに書かれている「岡野」は上野駅前の「岡埜栄泉」のことなのでしょうか?。これが書かれたのは昭和3年ですが、もう少し前の時代では 明治40年4月15日に発行された『菓子新報』に「東京名代の上菓子」が記載されています。それによると、「…馬喰町の玉村の「最中」、上野広小路の岡野の「羊羹」、本郷4丁目の藤村の「練り羊羹」、日本橋西河岸の栄太楼の「甘納豆」、京橋弥左衛門町の松崎の「煎餅」、南伝馬町の松月の「干菓子」、赤坂田町の森永商店の「チョコレート」、銀座4丁目の木村屋の「パン類」…」などが挙げられています。また、5月15日発行の同じく『菓子新報』には当時流行していた菓子の名が挙げられていて、「…虎屋の「干菓子」、森永の「チョコレートクリーム」と「キッスキャンデー」、栄太楼の「甘納豆」と「玉簾村時雨梅干し」、岡野栄泉堂の「最中」、藤村の「田舎饅頭」、新杵屋の「閣龍煎餅」、松月堂の「干菓子」、梅花亭の「どら焼き」、浅草の「雷おこし」、長命寺の「櫻餅」、長命寺門前の「言問団子」、亀戸の「葛餅」…」などが挙げられています。このお店は立地条件が良くて、上野駅の広小路口の交差点の目の前にあります。(丸井の横です)大きなビルの一階がお店で2階以上は貸しビルになっているようです。ここの豆大福もなかなかの物です。すでにお餅は新米になっていて、すこし大きめですが甘さも控えめでいて、なかなかコクがあるというかとてもおいしいです。豆大福200円

サッカー協会の岡野さんがやっているお店がこちらの方です。さまざまの書物やホームページに「岡埜栄泉」のことが書かれていますが、どうも駅前のお店と広小路のお店が混同されているようです。上野駅前の「岡埜栄泉」は名字が岡埜ですのでこちらの方が本家のようです。ある方からお聞きしたお話では、昔、上野駅前の「岡埜栄泉」さんで、当主が事故で亡くなられ、お店を継ぐ人がいなかったため、番頭さんが別れて上野広小路に「岡野栄泉」を開店したそうです。暖簾分けしたのではないようです。その後暫くして上野駅前のお店は何とか再開され、現在に到っているようです。

小石川 岡埜栄泉>
 上記の善光寺の石壁にも出てくる小石川 岡埜栄泉です。ですから戦前からですね。お話を伺うとお店は暖簾分けだそうですが、あまり縁はなさそうな口ぶりでした。隣に日本料理 岡埜荘もありました。同じ経営だとおもいます。ここの名物は力大福です。岡埜栄泉はどこも大福が名物です。大福は写真をみてもらうと分かりますが、かなり大きいです。お餅が大きいのだとおもいます。すこし甘めですが美味しいですよ。豆大福210円

初租 岡埜栄泉総本舗 上野広小路松阪屋前>
 お店の方に由来を聞いた所、創業140年だそうで、上記の上野駅前の「岡埜栄泉」とは全く関係ないそうです。自分のお店が本家で「岡埜」は屋号だそうで、駅前の「岡埜(岡野)」は名前だとのことでした。上記にも書いた通り、番頭さんが別れて作ったお店なので、昔の「岡野栄泉」を味を引き継いだのは唯一此方のお店かもしれません。しかしながら、一番最初に書いた通り、岡埜(岡野)の名前のお店が本家のようです。ここの豆大福、どら焼とも、適度な甘さと口当たりで、絶品です。豆大福210円

岡埜栄泉 港区虎ノ門>
 港区虎の門3丁目のお店は、上野広小路の「初租 岡埜栄泉総本舗」で修業した初代、松下勝重さん(1893〜1985)がのれん分けをしてもらい開業されたお店だぞうです。初めは本所で開店しましたが昭和23年に現在地に移っています。お店には、勝重さんの胸像が飾られています。虎ノ門のビジネス街の真ん中に在るため、普段はビジネス客が多くていっぱいです。土曜日は午前中のみ、日曜日は休業です。食べました。塩けも少なく、甘さも抑え気味で、お餅が多くて、なんというか、上記上野の2店と谷中のお店の計3店の中間の味です。年寄りには丁度よいかもしれません。美味しいですよ。豆大福230円

岡埜栄泉 谷中>
 根岸から山手線を超えて言問通りを上野桜木の交差点まできます。下町風俗資料館(吉田屋酒店)とカヤバコーヒーの間の道を左に入った通り沿いの左側にある和菓子屋さんです。上野駅前の「岡埜栄泉総本舗」ののれん分けで明治33年創業だそうで、右の写真のように建物も古く、昔からの和菓子屋さんのイメージそのものです。ここの豆大福も買って食べましたが、豆が多くて甘さが残らず、塩味とうまくマッチして美味しかったです。豆大福200円



<その他の岡埜栄泉>
お店同士の関係や、どのお店がのれん分けしたお店かよく分かりませんが、所在が分かっているお店を書いておきます。(順次調べますので時間が掛かりそうです)
岡埜栄泉:中野区本町 6-22-15 03-3381-5794
岡埜栄泉:上板橋北口 03-3933-3263
岡埜栄泉:大田区上池台2-31-13 03-3729-9220
岡埜栄泉:川崎市中原区新丸子町742番地、新丸子駅西口正面 044-722-3379 (広小路の暖簾分け) 豆大福200円 少し甘かったです。
竹隆庵岡埜栄泉:荒川区町屋2-17-2
岡埜栄泉:豆大福、塩大福の 有名なお店がたくさんあります巣鴨地蔵通り商店街の中にあります。小さなお店ですが競争が激しいので味はなかなかです。
岡埜栄泉:青梅街道八丁交差点
岡埜栄泉:八王子市大横町13-24 22-2290

岡埜栄泉地図

【参考文献】
・大東京繁昌記(山手篇):平凡社

【お店の所在地】
・初租 岡埜栄泉総本舗:東京都都台東区上野2-1-9 電話03-3831-6320
・岡埜栄泉総本舗:東京都台東区上野6-14-7 電話 03-3834-3331
・岡埜栄泉:東京都港区虎ノ門3-8-24 電話:03-3433-5550
・岡埜栄泉:東京都台東区谷中6-1-26 電話:03-3828-5711
・岡埜栄泉:東京都文京区小石川一丁目24-4 電話:03-3811-6050

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